ビジネスマンのためのビジネスルール入門③

k.shirai

前回は、ビジネスポリシーとビジネスルールの違いについてお話ししました。良いビジネスルールとは、新入社員でもコンピューターでも理解、実行が可能であることがキーポイントです。今回は、その他のビジネス計画の要素とビジネスルールの関係を分かりやすい例を取り上げて説明していきましょう。

行動方針とビジネスルール
(図1)図を拡大する

ルールは戦略や戦術を統治する

1つ目は、事業戦略や戦術(ビジネスモチベーション・モデルでは、2つ合わせて行動方針と呼んでいます)とビジネスルールの関係です。皆さんが、ピザの宅配ビジネスを始めるに当たって「どの競合他社よりも早くてアツアツのビザを顧客に配達する」という戦略、これを実践するために「バイクの運転が上手い人間を雇う」という戦術を採用したとしましょう。多くの企業にとって、戦略や戦術を実行するためなら「何でもあり」というわけにはいきません。事実上無理なことであったり、社会的責任や道義上において許されないことがあったりするからです。ビジネスルールは、戦略や戦術を統治する働きをもちます。この例でいえば、「注文されたピザは、店舗の半径10kmを超えて配達してはいけない」、「過去5年間で、3回以上の交通違反歴がある人間を雇ってはいけない」というビジネスルールを定めることによって戦略や戦術を適切に統治することが可能になります(図1)。

成果とビジネスルール
(図2)図を拡大する

ルールはゴールや目標の達成を支援する

2つ目は、ゴールや目標(ビジネスモチベーション・モデルでは、2つ合わせて成果と呼んでいます)とビジネスルールの関係です。今度は、レンタカー企業の例で考えてみることにします。オペレーション部門の今年度の事業目標は「来年度末までに、レンタル車両の故障率を1%以内に抑える」としましょう。この目標を達成するために、現場の人間が具体的に実行可能なビジネスルールを定める必要があります。たとえば、「前回の保守点検から走行距離が1,000kmを超えていれば、次の保守点検を受けなくてはならない」、「レンタルされる車両は、要求された車両グループの中で最も走行距離が少ないものを割り当てなければならない」のようなビジネスルールは、良い見本となるビジネスルールでしょう(図2)。このように、ビジネスルールは目標やゴールの達成を支援するという役割を果たします。

影響要因とビジネスルール
(図3)図を拡大する

ルールは事業環境によって動機付けられる

3つ目は、企業の外部および内部環境(ビジネスモチベーション・モデルでは、2つ合わせて影響要因と呼んでいます)に対応するためのビジネスルールです。今度は、銀行を例にとって考えてみましょう。昨今、マネーロンダリングに対する規制が厳しくなってきました。この規制は、銀行のビジネスに作用する外部影響要因の1つです。一方で、この銀行は従前より顧客との取引履歴をリアルタイムに監視できるようなIT投資を継続的に行ってきました。こちらは内部影響要因の1つです。結果として、これらの影響要因がこの銀行に対する指針(ビジネスポリシーやビジネスルール)に動機付けを与えることになります(図3)。「取引が1年未満かつ1度に100万円以上の送金を要求する顧客は、窓口扱いとする」、「リスト(A,B,C … n)の国からの入金がある場合は、当局に報告する」は、マネーロンダリング規制に対応するルールとなります。ビジネスルールは、企業を取り巻く様々な環境要因に対応するために頻繁に変更されることがあります。それは、競合他社、顧客、規制のような外部要因であったり、新商品販売、戦略や戦術の変更、組織やオペレーションのような内部要因であったりします。

 

ビジネス計画におけるビジネスルールの重要性がお分かりになりましたでしょうか? 今回は分かりやすく説明するために簡単な例を用いましたが、実際のビジネスはもっと複雑です。大きな会社でいえば、このような概念モデルでは記述できないほどの膨大で、環境変化に応じて迅速に変更しなければならないビジネスルールが存在します。ここに、BRMS活用の価値があるわけです。

 

次回は、ビジネスルールとビジネスプロセスの関係について議論を進めていきます。

 

(マーケティング担当:白井)

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