ビジネスマンのためのビジネスルール入門④

k.shrai

前回は、ビジネスルールと事業戦略や事業目標、影響要因(事業環境)との関係をシンプルな例を使って説明しました。ビジネスルールとは、ITによって実装可能な唯一のビジネス計画の要素であることがポイントでした。また、ビジネスルールは組織内に大量に存在し、日常の業務オペレーション内にて反復的に実行される特性もIT化の要件にフィットしています。

 

さて、皆さんにとってビジネスルールよりビジネスプロセスの方が馴染みがあるかもしれません。簡単にいえば、ビジネスプロセスとは業務オペレーションに必要な1セットのアクティビティの実行順序を定めるものです。米国OMG(オブジェクト・マネジメント・グループ)では、前回までご紹介したBMM(ビジネスモチベーション・モデル)の他に、BPMN(ビジネスプロセス・モデリングと表記法)を制定しています。また、OMGでは「ビジネスルールは、ビジネスプロセスをガイドする」というリレーションシップを定義しています。ビジネスプロセスを道に例えるならば、ビジネスルールは中央分離帯や標識、信号のような役割を果たします。

 

プロセスとルール
(図をクリックして拡大)

プロセシングルール

ビジネスルールの種類に関しては様々な分類がありますが(後日、改めて触れることにします)、ビジネスプロセスとの関係においては大きく3つに分けることができます。1つ目は、プロセシングルールで、「注文金額が100万円以上かつ値引き率が25%を超える場合は、組織長の承認をもらわなければならない」のようなルールです。これはシンプルで、多くの方にとって理解しやすいルールといえます。いわゆる特定プロセス内のルーティング、エスカレーション、アロケーションなどをガイドするものであり、ゲートウェイ(BPMNであればひし形)によって分岐されるアクティビティをビジネスルールによって決定させようとするものです。

 

タスクルール

2つ目は、タスクルール(タスクとは最も粒度が細かいアクティビティ)と呼ばれるもので、特定のタスク内のビジネスロジックを定義するもので、狭義のビジネスルールといえます。Colleen McClintock女史のBlogで説明されているように、「検証する」「点検する」「決定する」「計算する」「チェックする」「分析する」といった動詞を含むタスクの背景に1つ以上のビジネスルールが存在することがあります。実際のビジネスにおいては、非常に複雑かつ多くのルールが1つのタスクに潜んでいることが多いでしょう。タスクルールは、最もBRMSの本領が発揮される領域であろうかと思います。タスクルールの結果として後工程のプロセシングが決定されるわけですから、プロセシングルールとタスクルールは密接な関係にあります。

 

イベントルール

3つ目は、特定のプロセスを起動させるために存在するルールです。一般的に、イベントは組織の外部(顧客からの注文など)、内部(インバウンドコールなど)、時間(満期到来など)によって起動されます。「顧客からの注文が入ったら、注文プロセスを開始する」のようなルールは自明であり、BRMSを必要とする理由はありません。一方で、「AとBが同時に起こり、かつCが起こらなかったら、Dというプロセスを開始する」というような複雑なオペレーションが増えつつあるようです。いわゆる複合イベントプロセシング(CEP)と呼ばれているもので、ビッグデータ時代の到来により近年注目を浴びている領域です(イベントベースド・マーケティングなどはこの領域に含まれるでしょう)。さらには、プロセスの結果により、さらに別のプロセスをルールによって起動させるケースもあり得るかもしれません。

 

静的なビジネスプロセス環境においては、BRMSの活用度は低いかもしれません。しかしながら、現代のビジネス環境においては、ビジネスプロセスは益々複雑化、複合化してきています。このような動的なビジネスオペレーション環境においては、BPMとBRMSを上手く組み合わせることによってビジネスの俊敏性を高めることは重要なテーマになってくるでしょう。

(マーケティング担当:白井)

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