ビジネスマンのためのビジネスルール入門⑤

k.shirai

前回は、ビジネスプロセスとの関係における3つのビジネスルールの種類(プロセシングルール、タスクルール、イベントルール)を取り上げました。今回は、ビジネスルールが本来備わっている本質的な側面からの分類をご紹介します。保険会社の業務をサンプルにして進めていきましょう。

 

 

ビジネスの構造や行動を制約するルール

1つ目のカテゴリーは、ビジネスの構造や行動を制約するためのルールで、「制限」や「ガイドライン」があります。前者は制約が厳格である一方、後者は比較的緩やかなものです(MustとShouldの違いと考えればよいでしょう)。たとえば、「A保険に対する被保険者の年齢は、20歳以上60歳未満でなくてはならない」は制限ルールです。実際のビジネスにおいては、どのような理由があっても遵守しなければならないルール、事前や事後の正当な説明によってのみ違反が許可されるルール、指導的ではありますが強制力のないルールなど様々な執行レベルがあるかと思います。

 

意思決定に必要な新しい情報を生成するルール

2つ目のカテゴリーは、意思決定に必要となる新しい情報を生成するルールで、「推論」や「計算」があります。推論ルールは「~とみなす」と言い換えれば分かりやすいでしょう。たとえば、「被保険者の趣味がスカイダイビングであれば、リスクを“高”とする」は推論ルールです。計算(計算方法を表すアルゴリズム)もルールです。「肥満度指数(BMI)は、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ることにより計算される」は、単純な計算ルールです。このような意思決定に必要なインプットから生成される中間結果のようなアウトプットは、公式に記録されるかもしれませんし、記録されないことも多いでしょう。

保険アンダーライティング
(クリックして図を拡大)

具体的な行動を示唆するルール

3つ目は、具体的な行動を示唆するルールで、「アクションイネーブラ」と呼ばれるものです。たとえば、「被保険者の総合評点が80点未満であれば、その申込みを謝絶する」はこの典型といえます。

 

生命保険の新契約業務の場合、まずは申込データのバリデーションチェック(正しいデータが記入されているか?)を行い、次に当該保険商品が定める規定に沿っているかどうか、あるいは必要な書類が揃っているかどうかをチェックすることでしょう。これらに対するルールの多くは、制約やガイドラインとしてのルールです。さらに、被保険者の健康状態、過去の病歴、生活習慣や職業によって引受のためのリスクが判定されます。この過程においては、推論や計算ルールが中心になるかと思います。最終的に、申込に対する「承認」、「謝絶」、場合によっては「延期」といった結論を導くためのアクションイネーブラとしてのルールが実行されることになります。

 

このような業務オペレーション上の意思決定のためのルール構造は、保険業務だけでなく、クレジットカードやローンの審査(リテール金融)、マスカスタマイゼーションによるプロダクトコンフィグレーション(製造)やサービスプロビジョニング(通信サービスや電力/ガス)といった業務領域に共通するものです。

 

(マーケティング担当:白井)

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