ビジネスマンのためのビジネスルール管理入門⑧

k.shirai

先月だったと思いますが、オープンソースのBRMSベンダーであるOpen Rules社のセミナーの中で、BRMSの歴史についての説明がありました。今回は、その資料の図をお借りして改めて振り返ってみたいと思います。

 

エキスパートシステム/人工知能の時代(1980年代中盤~)

ビジネスルール管理のルーツは、30年近く前におけるエキスパートシステム/人工知能の研究と実践にまでさかのぼります。これは、ビジネスエキスパートの知識をルールとして取扱い、そのルールをハンドリングする、つまりコンピューターを人間のように考えさせることに焦点を置くものだったようです。しかしながら、医療や金融をはじめとする特定領域においては一定の成果を挙げたものの、幅広いビジネス領域への活用には至りませんでした。

 

当時は、コンピューターのリソースは非常に貴重であり、複雑なルール実行のためのパフォーマンスを向上させるために、カーネギーメロン大学のチャールズ・フォーギー教授がRETEエンジン(推論エンジンと訳されることがあります)というアルゴリズムを提唱しました。これを実装したITプラットフォームはルールエンジンと呼ばれ、年々改善が加えられながら、現在でも多くの商用BRMSに組み込まれています。

BRMSの歴史
(図をクリックして拡大する)

ビジネスルール管理システムの誕生(1990年代後半~)

1990年代後半に入り、ルールエンジンにビジネスルールの編集を容易にするユーザーインターフェースが加えられたビジネスルール管理システム(BRMS)が登場するようになりました。オブジェクト指向や分散処理といったテクノロジーがBRMSの発展に寄与したこともあるかもしれません。また、現実のビジネスの世界において、競争と環境の変化が激しくなったことも多くの企業によるBRMS採用を後押ししたようです。真っ先に導入を開始したのが米国のリテール金融業界であり、次に損害保険業界でした。さらに、インターネットの進化に伴ってeコマース領域で多くの企業が活用するようになりました。

 

2000年代の中盤になると、予測分析や最適化技術、あるいはBPMS(ビジネスプロセス管理システム)やCEP(複合イベントプロセシング)と組み合わせた活用方法が多くのITベンダーより提案されるようになりました。そのような過程の中で、単独の商用BRMSベンダーは大手のSIベンダーに買収されたのは記憶に新しいでしょう。

 

ビジネスルール管理からデシジョン管理への発展(2010年前後~)

さらにここ数年においては、ビジネスルール管理からデシジョン管理という新しい考え方に進化しつつあります。これは、ITツールの問題というよりはシステム化に対するアプローチの違いが大きく反映されているようです。端的に言えば、ビジネスルール管理がシステム化の範囲にあると思われるバケツ一杯のミクロレベルのルールを用意することからスタートするボトムアップアプローチに対し、デシジョン管理はビジネスオペレーション上のデシジョン(意思決定)とそれがビジネスに与える影響を特定することからスタートするトップダウンアプローチです。

 

将来的には、もう少しファジーなインプット(会話、音声、テキストなど)から適切な意思決定を下すような幅広い意味での知識管理テクノロジーに発展する可能性もあります。商用化されるまでには少し時間がかかるかもしれませんが、アカデミックおよびビジネスの双方の領域において研究開発はかなり進んでいるようです。

 

次回からは、現在注目を浴びている「デシジョン管理システム」という考え方について触れていきたいと思います。

 

(マーケティング担当:白井)

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