プロセス沼に落ちないための方法

k.shiraishi

プロセス沼に落ちてしまうとその先は負のスパイラルを繰り返し、沼から抜け出すのは容易なことではありません。できれば最初からプロセス沼にはまらない方がよいでしょう。そのための方法として何が有効かを、プロセスとルールのエンジニアリング的な視点で見ていきます。

 

プロセスを把握するポイントとしては、目的、役割、処理順序をもとにしたワークフローです。簡単ですが代表的なワークフローとして見積額の承認フローを取り上げます。このフローは「誰が決定(処理)するか」の視点で構成されます。

承認先の決定
(クリックして図を拡大する)

承認先を決定する金額範囲の条件はフローの分岐を決定するフロールールです。次に部長、課長、主任が承認を判断する条件は金額以外にもあるでしょう。たとえば、購買業務であれば購入目的や適用範囲、支払いはプロジェクト費用か間接費かなど色々な条件を複合的に見て判断しているはずです。これらの条件を含むルールはタスクルールと呼ばれています。ここでフロールールとタスクルールの性質を一言で説明すると次のようになります;

  • フロールールは、がと順序性を有しています
  • タスクルールは、を判断する内容で構成され順序性は“基本的に”ありません

上の例では、ある物品を購入する事を判定する事が、タスクルールとして各役職に就く者の仕事(タスク)になっています。この仕事をするためには、どの条件をどの順序にみてもよいはずなので、順序性は基本的に不要です。

 

タスクルールをルールエンジンで処理できる(相性の良い)適応性は、順序性を問わなくてよいところからきています。それに対してプロセスはフロールールを扱い、ワークフローを実装できるBPMSツールで処理するのに適しています。ここでプロセス整理の要として、プロセス記述ではタスクルールを記述せずルールに任せてしまうことです(実際はフロールールもルールエンジンで扱えますが、ここではこの整理とします)。

 

ルールの記述は次のような宣言的なルールステートメントで表現できます。これはシーケンスやループなどのロジックを含まずプログラム的な要素も少ないため、業務系の担当者が主体となって整理することができます。またこの内容は業務内容で業務担当が一番知っている内容のため、間違いもないはずです。

 

(自動車保険のルールステートメントの例)

  • タイプがコンパーチブルであれば、自動車の潜在的盗難度は高(High)とする
  • 車体価格が250万円以上であれば、自動車の潜在的盗難度は高(High)とする
  • 自動車のモデルが高盗難被害可能車リストにあれば、自動車の潜在的盗難度は高(High)とする
  • 自動車の潜在的搭乗者傷害度が極めて高(High)なら、自動車保険の適格性は非適格とする
  • 自動車の潜在的搭乗者傷害度が高(High)なら、自動車保険の適格性は仮適格とする

これらのルールステートメントは、各々独立していて順序性は必要ないことが分かります。プロセス整理とルール整理を分離して進めることで、プロセス自体をシンプルに構成できかつ重複なく作成できます。一般的に、300のビジネスプロセスを持っている組織は、平均1600のアクティビティを含み、これらのアクティビティの70%が基本的なタスクルールになります。これらのタスクルールをプロセスから切り離して整理することがプロセス沼に陥らないためのポイントであるといえます。

 

(エンジニアリング担当:白石)