ビジネスマンのためのビジネスルール入門⑭

k.shirai

前回は、動的なビジネスプロセスを支えるものとして、デシジョンマネジメント、ケースマネジメント、複合イベントプロセシングという考え方を簡単にご紹介しました。静的なプロセス、動的なプロセスが存在するように、意思決定(デシジョン)にも静的なものと動的なものが存在します。今回は、動的な意思決定の側面について触れてみることにします。

 

ダイナミックデシジョン

たとえば、タクシー運転手の意思決定について考えてみます。運転中、目の前の信号の色が変わったとしましょう。「信号の色が変わったら、どう対応すべきか?」。青から赤に変わればスタートするでしょうし、黄色から赤に変わればストップするでしょう。これは意思決定と言えるでしょうか? 意思決定とも言うこともできるし、意思決定と言えるほど大げさなものではないとも言うこともできます。少なくとも、運転手にとって選択の余地がほとんどないことは確かです。異論はあるかもしれませんが、これを静的な意思決定(スタティック・デシジョン)と呼ぶことにしましょう。もちろん、頻繁ではありませんが、ルール(この場合は交通ルール)は変わることがあります。

 

次に、「お客さんを効率良くピックアップするために、どの当たりにいるべきだろうか?」について考えてみましょう。これも意思決定と言えますが、運転手の経験、場所や時間帯、近隣のイベントなどの状況によってその判断は異なるでしょう。このように、複数の選択余地が存在し、その中から最適なものを決定しようとする行為を動的な意思決定(ダイナミック・デシジョン)と呼ぶことにします。

 

静的な意思決定と動的な意思決定は、その意思決定の重要性にも関係してきます。たとえば、数億円のシステム開発の発注ベンダーを決める際、多くの企業は複数のベンダーに提案依頼をもちかけ、複数の基準に照らし合わせて最良と思われるベンダーを選択しようとするでしょう。一方、安価なものを買う場合は、いつも使っているものを反射的に選択するかもしれません。

アダプティブコントロール
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アダプティブコントロール

企業における静的な意思決定の多くは、ビジネス上の制約や外部規制に関するものが中心で、その多くは業務マニュアルなどのビジネスポリシーを拠り所にしています。一方、動的な意思決定に関しては、業務マニュアルだけでなく、ビジネスエキスパートの頭の中、オペレーション現場におけるベストプラクティス、取引履歴データの中にも存在します。また、動的な意思決定の多くは、顧客やサプライヤー(場合によっては不正者)といった外部利害関係者とのやり取りを多く含むビジネスプロセスに存在することが多いようです。

 

このように、変化する外部の利害関係者の動きに常に注意し、各々のケースにおいて最適な意思決定をしようとする行為をアダプティブ・コントロール(適応統制)と呼ぶことがあります。さらに、予測分析技術を駆使して、相手の動きを先読みしながら意思決定するケースも増えてくるかもしれません。ビッグデータが本格的に活用される時代においては、ITを活用したリアルタイムの意思決定が可能になってくるでしょう。そのためには、継続的な意思決定の改善を自律的に行えるような組織作りも欠かすことはできません。

 

(マーケティング担当:白井)

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