ビジネスマンのためのビジネスルール入門⑯

k.shirai

前回のBlogで、ルールの構造体は設計するものではなく、適切なビジネス要件を定義することにより、おのずと決まることをお話ししました。以前、ある企業のIT部門に伺ったことがあるのですが、あるロジック内に3つを超えるIF構文が存在する場合、複数のプログラムコードに分割するというコーディング規約として定めていようでした。これは、IT部門としての一種の知恵ですが、意思決定の構造を正しくコンポーネント化しているとはいえません。米国のある調査によると、適切なルールの構造体を決めずにIT化していくと、2000ルールを超えるあたりからルール全体の構造がカオス化してくるそうです。

 

ここでの重要なポイントは、ビジネスオペレーション上の意思決定を明確にし、そのメカニズムをブレークダウンしていくトップダウンアプローチを採用することにあります。その方法論を2つ簡単にご紹介していきましょう。

Q-Charts
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Q-Charts

1つ目は、ビジネスルールの父と呼ばれているロナルド・G・ロス氏によって提唱されているQ-Chartsです(Qは質問を意味します)。このチャートは、質問、考慮事項、例外事項、結論の4つのパートから意思決定の構造を定めています。考慮事項は条件と考えれば良いでしょう。チャートを見ていただければ分かると思いますが、上位の意思決定の下には、下位の意思決定がリンクされています。ルールの観点からいえば、上位の意思決定の条件が、下位の意思決定の結論となることを表しています。このチャートの単位が、いわゆるルールセットの単位となるわけです。

The Decision Model
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The Decision Model

2つ目は、KPIというルールコンサルティング会社が提唱しているThe Decision Model(通称TDM)です。リテール金融機関をはじめとして、多くの企業によって採用されているようです。基本的な考え方は、Q-Chartsと同じですが、意思決定の単位は図のように墓石のようなアイコンで表現されます。図の中の上位の意思決定ロジックで、実線の上に記述されている要素はその意思決定ロジックにおける結論です。その下の実践と点線に囲まれている要素は、下位の2つの意思決定の結論を必要とする条件を表します。一方、下位の2つの意思決定ロジック内の点線と実践の下にある要素は、純粋にトランザクションデータや履歴データからのインプットを必要とする条件を表します。

 

文章で書くと非常に難しく思われるかもしれませんが、実際にやってみると考え方は非常にシンプル、論理的かつ明快です。ポイントを1つ挙げるとすれば、前述したとおり、上位の意思決定ロジックの条件が下位の意思決定ロジックの結論を必要とする場合があることです。IT部門からみれば、ネスト化しているIf then構文ということになります。このように、適切なビジネス要件定義のアプローチとBRMSプラットフォームを採用することにより、ビジネスおよびITユーザー双方が理解できる正しい意思決定ロジックを構築することができるようになるかと思います。

 

次回からは、OMG(オブジェクトマネジメントグループ)による新しいスタンダードであるDMN(デシジョンモデリングとその表記法)について、簡単にご紹介していきましょう。

 

(マーケティング担当:白井)

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