ビジネスマンのためのビジネスルール入門 #22

k.shirai

前回は、OMG(オブジェクトマネジメントグループ)の新しいスタンダードであるDMN(意思決定モデルと表記法)を表すための4つのノードと3つのリレーションシップについて触れました。今回は、DMNに記載されているサンプルをベースとして、リテール金融業務におけるローン審査業務プロセスとDRD(意思決定要件ダイアグラム)をご紹介します。

初期与信ビジネスプロセス
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ローン審査業務のビジネスプロセス

最初の図は、ローン審査業務のビジネスプロセス図です。ローンの申込みというイベント後の最初のタスクは、申込みデータを収集することです。ここでは申込みデータと要求されるプロダクト情報を得ることができます。次に、審査方法を選択するというタスクがスタートします。「選択する」という動詞は、典型的なデシジョンワードです。また、このタスクの右下のアイコンは、意思決定タスク(ルールタスク)を表します。この意思決定の結果として、後続タスクの分岐が発生します。以下いくつかのタスクが続きますが、このビジネスプロセスにおける意思決定タスクは、「審査方法を選択する」と「申込みをルーティングする」という2つであることが分かります。

意思決定要件ダイアグラム
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DRD(意思決定要件ダイアグラム)

次の図は、DRD(意思決定要件ダイアグラム)です。2つの意思決定タスクに関する要件が表されています。このダイアグラムには、前回ご紹介した意思決定ビジネス知識インプットデータという3つのノードとリレーションシップが描写されています(意思決定やビジネス知識の拠り所となる知識ソースは省略していますが、これを含めればDRG、つまりプロジェクト全体の要件を表す意思決定要件グラフとなります)。このDRDで分かることは次のとおりです。

 

第1に、「審査方法を選択する」と「申込みをルーティングする」という2つの意思決定タスクに対応する最上位の意思決定が「審査方法」と「ルーティング」になっていることが分かります。第2に、最上位の意思決定は、インプットデータもしくは下位の意思決定のアウトプットを要求している様子が分かります。第3に、ビジネス知識はBRMSに実装する際のルールセットに相当すると考えてよいでしょう(とりあえずこの段階では)。この図では11のビジネス知識(ルールセット)が存在します。第4に、「審査方法を選択する」と「申込みをルーティングする」に必要なノードだけでなく、双方に共通して必要となるノードが存在することが分かります(中央当たりにある灰色のノード)。最後に、インプット情報とそれ以外のノードの間を分ける境界線を引くことにより、このプロジェクトに必要とされる外部インターフェースの数が分かります。

 

BRMSプロジェクトの要件定義に活用する

DMNが提供する表記法は、非常に便利なツールであることをご理解いただけたかと思います。適切なファシリテーターと当該ビジネス領域をよく理解しているビジネスユーザーが集まれば、よほど複雑な場合でなければ、1~2週間程度でBRMSプロジェクトにおける要件定義を文書化することができます(20~30ページ前後)。さらに、何回か経験を積むことによって、プロジェクトに必要とされる工数や期間の目安も早期に分かるようになるでしょう。

 

(マーケティング担当:白井)

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